TOKYO VERDY EVOLUTION WEEK  BUSINESS TALK SESSION

#3 フロントスタッフのチャレンジ

2020年2月21日に行われた、東京ヴェルディビジネストークセッション『オフザピッチにおけるチャレンジと共創』のイベントレポート。

サッカークラブフロントの普段なかなか知られることのない仕事内容から、現場のリアルや苦悩。そしてそれらを乗り越えてきた過程から目指す未来まで、東京ヴェルディ株式会社パートナー営業部シニアディレクター 佐川諒、東京ヴェルディ株式会社 ファンデベロップメント部 菊地優斗、ファシリテーターとして東京ヴェルディ株式会社(株式会社リトリガー)パートナー営業部プランナー 八木原泰斗が語り合いました。

※敬称略

toCの視点からパートナー企業の価値向上を図る

八木原 では早速、それぞれのメンバーがどういう経緯でヴェルディにジョインして、どのような仕事をしているのかについて聞いていきたいと思います。

 

佐川 私は2017年7月入社で2年半ほど、スポンサーセールスを担当しています。元々は関西でスポーツのITベンチャーに新卒入社したのですが、リーマンショックで入社2ヶ月くらいで給与未払いでクビになってしまいました。そこからIT企業で営業として働きつつも、やはりスポーツの仕事がしたいという想いから、大学時代の友人たちとNPO法人を立ち上げ、パラレルキャリアとしてスポーツの仕事をしていました。

 

ただどうしてもJリーグクラブに入りたくて、転職活動をしていましたが、なかなかご縁がなく、圧倒的な営業力つけることと選手のキャリア支援のノウハウの取得を目的に、リクルートに転職しました。その後、30歳のタイミングで大学時代の友人がたまたまヴェルディにいて、そのご縁がつながって入社することになったという経緯です。

 

菊地 自分は新卒でDeNAという会社に入って、最初は新規事業の部署、その後スポーツマーケティングの部署でDeNAベイスターズやランニングクラブなどのアセットを生かした本社事業のマーケティングに関わっていました。そして3年前くらいにアカツキに入社したのですが、現GMの梅本がサッカークラブの経営に携わりたいという夢を持っていたこともあって、社内でヴェルディに対する出資・スポンサードの話を嗅ぎつけたんです。

 

そこで提案資料を用意して出向の直談判をしたところ送り出していただいて。自分は小学生の頃からヴェルディサポーターだったので、今はまさに夢のような日々を過ごさせていただいています

 

八木原 1人は転職、1人は出向ということで、違った2人の視点で本日は進めていければと思います。仕事内容はどんな感じでしょう?

 

佐川 今年の2月からは責任者として、スポンサーセールス部門全体を見ています。当初はヴェルディのスポンサー企業の期待や課題感、パートナーシップの目的などがあまり明瞭になっていないケースがありました。他のクラブの方にヒアリングしても同じような状況だということを知りました。

 

ただクラブを応援してください、お金を出してください、ではなくて、今は一社一社カスタマイズした提案で、その会社さんの課題を解決したり、事業発展に貢献できる“ビジネスとしての”営業の形を作っている最中ですね。

 

もう一つヴェルディカレッジという学生対象のビジネススクールを去年立ち上げました。これは単にスポーツビジネスの講座ではなく、0から1の事業・ビジネスを生み出す力や、失敗を恐れず主体的にチャレンジするマインドセットなど、今後の社会で活躍できる人材を育成する事を目的としたビジネススクールを目指しています。

 

菊地 自分はもともとあったポジションが空いて、そこに採用されて入ったわけではないので、そういった意味ではフリーマン的な役割なのかなと思ってます。toC領域で今までやりたくてもできなかったことを、幅広く取り組んでいるというのが現状ですね。今回のTVEW2020のような新規イベントの立ち上げだったりホームゲームの観戦UX向上施策だったり、今シーズンのユニフォームのプロモーションなどを緊急度は高くないが、重要度が高い施策をやってきました。

 

特に長年ヴェルディをサポーターとして客観的な視点から見てきて、観戦体験の向上になかなか手を打てていないのではないかと感じていたので、昨年からファンデベロップメント部内にユーザーエクスペリエンスグループという観戦満足度向上のためのグループを作りまして、観戦満足度を高められるような演出、装飾、コンテンツ制作などの施策にも取り組んでいます。

 

八木原 ということで、toB向けの仕事とtoC向けの仕事、それぞれを紹介させていただきました。多くの企業でも陥りがちだと思うのですが、サッカークラブも組織が縦割りになっていて、横の連動や連携が起きづらいという課題があります。2人が取り組んできた横同士が連携して実現できた事例を紹介してください。

 

菊地 自分としては、パートナー企業と何かを行う場合も、あくまでお客さんが喜んでくれることを最優先に考えることをモットーにしています。パートナーによる冠試合があった時、パートナーとしては自社で協賛をつけてる試合だから、当然やりたいことをやるという考えに至ってしまうケースがあるんですね。そうするとサポーターや来場者の目線が置き去りになってしまいがちなので、そこをパートナーさんに向き合っている佐川さんと協力しながら、アイデアを出していくようなことがあります。

 

例えば昨シーズン2度配布させていただいたキッズユニフォームに関する施策についてお話させていただくと、冠試合のノベルティのためにあらかじめ決められた予算があってその中で、パートナーが作りたいものを作る、というのがこれまでのやり方でした。パートナーとしては当然1人でも多くの手に渡ってほしいので、いかに数を作るかという話になってしまうのですが、そこでサポーター側の視点に立ってみると、配る枚数を減らしてでもキッズユニフォームのクオリティを上げたほうが満足度は高いんじゃないかなと。

 

子どもが1人で来場することはないので、子どもの満足度がファミリーの満足度に直結すると考えれば、低単価のノベルティを多くの人に配るよりも、質の高いキッズユニフォームを子ども限定で配布した方が、最終的にパートナーのブランド価値向上に繋がるんじゃないか、というアプローチで色々と提案させていただきました。

 

佐川 去年からは子どもやファミリーという集客施策のターゲットが明確になり、営業サイドにもとても刺激があったんですね。例えばパートナーデイのノベルティに関してですが、今まではパートナー企業さんが配りたいと仰ったものを配っていたことが多かったので、同じシーズンで似たようなアイテムを複数回配っていたこともありました。

 

なので、例えばニチガスさんであれば子ども向けのメッシュキャップだったり、応援が楽しくなるようなフラッグだったり。サッカーの観戦を楽しめて、満足度が上がることによって、また来たいなと思ってもらえるようなスタジアムを一緒に作りましょう、その結果そういったプレゼントを提供して下さるパートナー企業にもファンが付く、というスタンスになったというのは、toC領域のターゲットと施策が明確になったことによる好影響ですね。

八木原 サポーターの目線でやることが、回り回ってその企業の価値に繋がっていくというところがポイントですね。ありがとうございます。では、先日ニュースにも取り上げられた、ユニフォームの話題に移りましょうか。Yahoo!ニュースのトップページにも出ましたね!試合に関係ないニュースでは何年振りでしょうか。私にもいろんな人から連絡が来ました。

 

佐川 そうですね。昨年からパートナー企業さんには、ロゴカラーを統一しませんかというお話はずっとさせていただいていました。リブランディングの流れの中で、アカツキさんがゴールドのロゴを作ってくれる、というところがキッカケとなって各社様とお話をして進めていった形になります。

 

リブランディングのタイミングで、一緒にロゴカラーを統一してデザイン性に富んだユニフォームを作れば、いつも以上に多くのサポーターの皆さんにも知っていただけますし、その取り組み自体が大きな話題になるはずだとお話させていただきました。加えて、そういった取り組みに協力している企業スタンスがポジティブに働くことやユニフォームが売れて多くの人に行き渡ることが、結果巡り巡ってその企業に返ってくるという話にも共感いただいてロゴカラーを統一する運びになりました。

 

八木原 他のクラブがやっていないことや新しいチャレンジができた、というのはパイオニア精神を持ったクラブであるヴェルディだからこそですよね。このような話題を業界外に対しても呼ぶ取り組みができたというのはとても良い事例だったと思います。

コンパクトな組織だからこそ改革も早い

八木原 続いて、働いている現場の空気感だったり雰囲気だったりを伺っていきたいなと思います。ベンチャー企業っぽいみたいな話も出ていましたけど、どうですか?

 

菊地 入社前は勝手なイメージで堅苦しい感じなのかなと想像していたので、本当に驚きましたね。そもそも平均年齢も30歳前後くらいで、チャレンジすることに対しての後押しはベンチャー以上に大きいかもしれません。部署も関係なく先輩が相談に乗ってくれますし、自分で言うのもあれですが、本当に良い環境だなと思ってます。

 

佐川 スピード感は相当早いなと思いますね。結果を出したらすぐ上に上がれるという早さもそうですし、会社自体がコンパクトで決裁者との距離も近く、意思決定の早さもあります。組織の成長スピードも早くなっているなと感じますね。他業界から積極的に人材が入ってきて、そこから今に至るまでの組織としての成長感は、ベンチャーっぽさに繋がるかもしれないですね。

 

八木原 サッカー業界というと、村社会で実績や繋がりがないと入りづらいというイメージを持っていました。私の話になってしまうのですが、サッカー界で活躍するために2018年に起業して、早速ヴェルディに企画や提案を売り込みに行ったんですよ。最初は会ってくれたのですが、その後は課題もわからぬままフィードバックどころか返事すらも返ってこなくなりました。

 

そもそも話を聞いてもらえる立場にならないといけないと思って、スポンサーになることにしたんです。スポンサーが言うことならば聞かないわけにはいかないだろうと(笑)。かつただのスポンサーでは貢献できる幅が限られるので、得意領域である企画や戦略立案するパートナーとして昨年ジョインしました。そうして、昨年の取り組みが評価されて、今年からはこうしてフロントスタッフの一員として活動をしています。

 

社員でもなく、出向でもなく、親会社の社員でもない、こんな関わり方はJリーグ56クラブで他にない事例なんじゃないかと思います。私みたいに実績や繋がりが無くても活躍できるパターンもあるという新しい選択肢、可能性を体現していきたいなと考えています。

佐川 そうですね。そもそも約30人の組織でヴェルディとベレーザを回しているので、絶対的に人が足りていないんですよね。(4/20時点で絶賛採用募集中)更に僕も含めて新規契約を頂くなどいわゆるセールス脳に強いメンバーはいるのですが、具体的な企画や戦略のところがウィークポイントとして存在していて、でも新しく採用する予算はない…と。

 

そこにスポンサーとしてお金出すから一緒にやりたい、と八木原さんが言ってきてくれて。そうなると会社もうんと言わざるを得ないので、一緒にチームを組んで色々な提案を一緒に作っていけているのですごくありがたいんです。今後僕らみたいな規模のJクラブは、社外と色々なチームを作っていくことが勝ち筋なのかなと思いましたね。

 

営業で言えば他にも、副業で出来るセールスチームを今作っているんですよ。実際に先日一社決まって、実績も出始めたので、そういった自分一人ではできない部分を社外のスポーツビジネスをやりたい方々とチームを組んでやっていくのは良いことだなと。

 

八木原 うんうん、社内ですべて抱え込む必要はないですからね。得意な分野の外部と手を組むことでクラブも中にいる人も成長できますし。では続いて、ジョインして働いてきたなかで、苦しかったことや嬉しかったエピソードを教えていただこうかなと思います。

 

佐川 僕は最初の方にお話させてもらった通り、お布施じゃなくて世の中の企業の事業をスポーツの力で前に進められるような形でパートナーになっていただくべきだと考えて、活動していました。最初は色々なチームの人に「よくそこまでやるな」と笑われる事もありましたけど、このスタンスが間違っていないことを絶対証明しようと思って、2018年の秋頃は1ヶ月で60アポくらい行ってたんですよ。

 

八木原 そうやってるからいつもどっかで倒れる(笑)。

 

佐川 ですが、結果その年だけで新しく27社パートナーになっていただいて、行ってきたことは間違っていなかったなと実感できましたし、色々な業界での成功事例がストックできたのでやって良かったなとは思うのですが、当時は死ぬかと思いました(笑)。

 

菊地 自分はIT企業出身なので、リアルな興行をするのが初めての経験だったんですよね。リアルな興行ならではのリスクとそれに対する対策を検討したうえで、、オペレーションの細部まで設計するのが苦労しました。

 

逆に嬉しかったこととしては、今回のユニフォームのコンセプトムービーを作らせていただいたり、ランディングページを作らせてもらった際に、サポーターの皆さんがかっこいい!と喜んでくれたのが嬉しかったですし、他のクラブのサポーターから悔しい!羨ましい!という反応があったんですよね。

 

自分も長年サポーターをやってきたので、『ヴェルディのサポーターをやっていて誇らしい』と思って頂けたことが本当に嬉しかったです!

 

八木原 それは本当に冥利に尽きるエピソードですね。

 

佐川 僕の嬉しかった例では、有料老人ホームを運営されているパートナー会社さんとのお話です。イメージ的に採用に苦戦する業界ということで、採用ブランディングの一環としてベレーザの選手たちと同年代の従業員さんとの対談企画を実施しました。その中で従業員の方々が、介護業界ってネガティブな印象を持たれがちだけど、世の中に絶対に必要な仕事で誇りに思っていると仰られて。ご入居者様の人生を支える素晴らしい価値のある仕事にも関わらず、イメージだけで敬遠されている業界を変えたいと。

 

それを聞いたベレーザの選手たちも、W杯優勝など男子より世界で結果を出しているけど、観客動員も少ないしサッカーだけで食べている選手も少ない。だから同じ思いで業界を変えたいと熱く語ってくれたんです。そんな彼女たちの思いを両方の業界から情報発信することで、自分たちの領域外に情報を届ける事ができました。そして、そんな強い想いを持った方々が働く企業として、採用活動でも他社と差別化を図ることができていると仰っていました。スポーツがビジネスとして役に立った瞬間が作れた、というのがこの仕事をしていて良かったなと感じた瞬間でした。

 

八木原 互いの強みで課題解決できた好事例ですよね。

 

菊地 自分がサポーター出身ということもあるかもしれませんが、とにかくサポーターの方が温かいですし、クラブ運営に対して自分ごと化して考えてくれることですね。応援はもちろんですし、スタジアムのホスピタリティだったり、良いところも改善すべきところもフラットにご意見をいただけたり。クラブが発信したことをサポーターの方が代弁して届けてくれることもあって、僕らは人数が少ない組織なので、本当にありがたいなと思います。

パイオニア精神を忘れず、さらなる高みを目指す

八木原 最後に目指す未来についてお話をしていきたいなと思います。

 

菊地 自分がマーケターとしてウェブサービスなどを作ってきた経験の中で、ユーザーエクスペリエンス(UX)というものを重要視してきたので、それをヴェルディに持ち込めたのは良かったなと思っています。UXは感動−ストレスだと考えていて、ストレスに関してはひたすらに課題を潰していくアプローチを繰り返していくしかないと。

 

東京は本当にエンタメに溢れているので、そこで勝負するには競合が多すぎるし相手が強すぎるんですよね。なので、感動の部分は、昨年のキッズパークのような施策は続けつつ、ヴェルディなりのアプローチをしていかなければいけないです。

 

佐川 僕が入ってきた2年半前には、スポンサーアクティベーションって言葉すらあまり聞かないような状態でした。。それが最近では課題解決型スポンサーシップとか、頻繁に目にするようになってきて、そこに関してはJリーグクラブの中では業界を切り拓いてきたという自負はあるんですね。今回のユニフォームの件も、来年以降は同じような取り組みをしてくるクラブが出てくると思います。

 

その中で、次のテーマは実施してきたアクティベーションの効果測定がしっかり出来るか、僕らのパートナーになってくれたことが価値のある投資だったと思って頂けるような価値の証明をしていきたいと思っています。正直効果測定に関しては難しいですし、それがしっかり出来ているクラブさんってまだまだ少ないと思うのですが、他のチームや業界も真似するようなものにしていきたいですね。

八木原 良いですね!ありがとうございます。最後に野望を聞いてみようかなと思うのですが、いかがでしょう。

 

菊地 僕らはとにかく人もお金もまだまだ足りないという状況で、何をチャレンジするにしても仲間の存在が欠かせないと思っています。サポーターの皆さん、パートナー企業の皆さん、クリエイターの方々など外部で一緒に作っていく皆さんと価値を共創することで、新しいクラブ運営の形を示していきたいなと思っています。

 

佐川 スポンサーシップというものは、サッカーひいてはスポーツというものが企業さんに貢献できるものだということを証明していきたいと思っています。スポーツ業界に正しくお金が入ってくるモデルとして、僕たちがその事例をたくさん作っていきたいですね。結果として、僕ら営業が頑張ればチーム強化に直接つながることも証明していきたいです。

 

もう一つこれから業界を目指す人に対して、僕は異業種から転職してきたフロントとして働く人間の成功事例になりたいです。スポーツ業界って外の人から、給料安くて、ハードワークで、能力低い人ばっかりなんでしょ、って言われる業界なんですよ。みんな強い想いを持って働いている人ばかりだし、そんな業界を変えようと頑張っている人が多いので、どんどんチャレンジして実績を積んで成功事例になりたいですね。

 

菊地 そして個人的にはやっぱりJ1に昇格したいです。もちろん会社のミッションとして世界一の総合クラブを目指すという方向でやっていくんですけど、サポーターの皆さんがどういう思いで応援してくれているかも知っていますし、パートナー企業の皆さんが僕たちにたくさんのお金を投資してくれているわけじゃないですか。やっぱりJ1にいきたいですよ。最終節では昇格を決めて泣きたいです。

 

八木原 行きたい…!行かないといけない!以上、ヴェルディの熱きフロントチームでございました。ありがとうございました!

 

佐川菊地 ありがとうございました!

ライター:渡邊志門

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